渡部夏史(仙台育英)の足蹴り事件は、故意・事故どっちなのか

2017年の全国高校野球選手権大会後の今でも、仙台育英高校の「足蹴り事件」についての議論が続いています。

今回、スポーツを愛する者の一人として、検証したいと思います。

※あくまでも個人的な推測です。

まず、この件で非難を浴びている選手について確認します。

 

渡部 夏史(わたべ なつひと)

生まれ 1999年(平成11年)
身長 163cm
体重 62kg
出身地 宮城県仙台市
出身中学 仙台育英学園秀光中等教育学校
投打 右投・両打

中学時代に、秀光中学で軟式野球をやっていた渡部くん。

実は、この秀光中学は中学野球では有名な強豪校で、今年を含めて5年連続7回の全国大会出場を誇っています。

そして、渡部くんも3年生時に全国優勝を果たしたメンバーの一人でs。

仙台育英学園という校名でわかるように、この中学の野球部から仙台育英高校に進学したのは、渡部くんの代では渡部くんを含めて6人にものぼります。

中学時代から仙台育英で甲子園に出場することを目標に頑張ってきたのですね。

仙台育英のような甲子園の常連校の練習の厳しさは大変なものだったでしょう。

晴れて甲子園に出場した渡部くんが炎上したのは、既にご存知のこのプレー。

さらに、日大文理戦でも前科があると炎上します。

優勝候補の筆頭だった大阪桐蔭のまさかのサヨナラ負け。

しかも、その引き金となったのが渡部くんが足を蹴って負傷した1塁手のベースの踏み損ね。

送球を受けたときにベースを踏んでいれば、試合終了で大阪桐蔭の勝利だっただけに、

「あの足蹴りがあったことが原因の1つだった」

とヒートアップしました。

そして大騒ぎの中で、渡部くんは次戦となった準々決勝の広陵戦では出場せずベンチに座っていました。

この試合で広陵に敗れた仙台育英は甲子園を去ります。

それでも騒ぎは収まりませんでした。

炎上していたツイッターのアカウントも削除していたことから、

「やましいことがあるから出場しないんだろう」

 

足蹴りは故意か?事故か?

それでは、問題のシーンについて私なりの見解を記します。

まず結論から

間違いなく、故意ではありません。

理由を5つに分けて説明します。

そのまえに動画で全体の流れを見てみましょう。

【理由1】

ネット上のほとんどの批判意見は

「どう見てもわざと蹴っているとしか見えない」

確かに右足でベースを踏んだ後の左足の動きを見ると、サッカーのFKを蹴るようなボール蹴る姿そのものですね。

しかし、この場面を振り返ってみると、ボテボテのショートゴロを遊撃手が機敏にさばいてアウトにしました。

ショートのナイスプレーだったのですが、バッターとしては内野安打にするために必死に走ります。

こういうとき、ベースを踏む最後の一歩を大きく踏み出すものです。

渡部くんもそうでした。

そして、人間の運動メカニズムは、全力疾走から大きく一歩を踏み出すと、次の一歩は膝が上がらないものなのです。

実際にやってみるとわかります。

 

そして、このとき渡部くんはベースを右足で踏んでいます。

本来であればこのような接触を避ける意味でも左足で踏むのがセオリーですが、どうしても足が合わなくて右で踏むことは当然あります。

そして、左右どっちの足で踏むにしてもベースの右側を踏んでそのままファールゾーンに向かって走り抜けるものなのですが、このときはベースの真ん中あたりを踏んでいますね。

これでは接触の危険性が高いです。

 

プロの選手でも右足で踏むことはよくあります。

そして、この左足の位置はベース上でかなり低くて危ないですね。

しかし、ちゃんとベースの右端を踏んでいるので接触を避けられています。

つまり、

「故意ではなく、ベースランニングが下手だった」

これが正解でしょう。

 

 

【理由2】

接触後の渡部くんはどうなったのかというと、派手に転倒しています。

もしも、全力疾走したうえでベース上で故意に蹴ったとすると、当然その後に自分が転倒することは予想できていなければおかしい。

こういう場合、人間は自然と怪我をしないように危険のないような動きをするのです。

ビデオを見ると蹴った後に蹴った左足をついてそのままバランスを崩して転倒しています。

足の着き方によってはねん挫などをするリスクが高い。

転倒する際にも手からついていますが、これも手首の捻挫をするリスクがあります。

そもそも蹴るのはボールではなく人の足なので、場合によっては自分の足が骨折してもおかしくない。

もし、故意に左足で蹴りにいったのであれば、蹴る直前にスピードを緩めるか、蹴った後にすぐに転がってしまうのが一番安全で、意図をもって蹴りに行けば自然とそのような動きになるものです。

折角出場できた甲子園、しかも優勝候補と好試合をしていて、この試合に勝てば優勝の可能性だってある。

その大舞台に、ここで怪我をすれば出場できなくなる。

ここで、怪我のリスクを冒してまでこんなプレーを故意にするでしょうか?

 

【理由3】

もし、このプレーが故意だったとすれば、自分が怪我をするリスクの割にはリターンが少なすぎる。

1塁手というのはこのような接触を避けるために、捕球をしたらベースを踏んでいる足を引っ込めるものです。

この時はクロスプレーだったのでひっこめる前に蹴られてしまったのですが、蹴りに行ってその直前に足を引っ込められて空振りという可能性は十分にありました。

また、結果的に今回は1塁手は足を痛めたのですが、負傷退場したわけではありません。

その後も出場し、勝ち越しのヒットも打っています。

言いにくいところですが、もし本当に怪我をさせる意図があるならば、1塁手のかかとをスパイクで踏むのが最も確実です。
(これは野球をやっている人にとっては常識です)

もしこれが故意ならば、かなりマヌケな選手ということになります。

 

【理由4】

この場面は7回裏、2アウトランナーなし。

もし、ランナーが3塁にでもいればあわよくば落球して決勝点という可能性にかけるかもしれませんが、この場面でそんなラフプレーをして何になる?

 

【理由5】

尾崎拓海という存在

出典:高校野球ドットコム

渡部君は、この甲子園では背番号2のレギュラー捕手でしたが、実はこの代では控えの捕手でした。

仙台育英には、尾崎拓海くんというプロのスカウトも注目するほどの4番打者が不動のレギュラー捕手。

ところが、今年の1月。
至近距離から左目にボールが当たってしまいます。

数分後に意識が戻ると体は血まみれで、左目が開かない。深刻な眼窩(がんか)底骨折に加え、内出血もひどく、「救急車を呼ぶのが遅れていたら、失明していた」と医師に言われるほどの大怪我でした。

事故の後はボールがぶれて見え、左目の下に入れたプレートの影響で視界が狭い。

尾崎くんのケガによって、渡部くんがレギュラーとして出場することになったのです。

復帰後は朝練でバットを振り、夜も筋力トレーニングを重ねましたが、宮城大会は代打の2打席だけ。

大阪桐蔭戦から一夜明けた20日朝。

佐々木順一朗監督がチームの前でこう告げました。

「今日は尾崎でいく。そろそろ復活してもいい時だろ」

もちろん渡部くんの炎上も頭にあったでしょうが、監督もチームメイトもどこかで尾崎くんを使いたかったのではないでしょうか。

 

そして、その尾崎くんの父親も高校球児だったのです。

しかも、大阪桐蔭の捕手だったそうです。

甲子園の晴れ舞台で、父親と同じ捕手として、父の母校である優勝候補大本命の大阪桐蔭との試合に出場したかったでしょう。

当然、渡部くんも大阪桐蔭との一戦を尾崎くんがどんな気持ちでベンチで応援しているのか痛いほどわかっていたはずです。

この状況で故意にラフプレーをするような選手が果たしているでしょうか?

 

私にはどう考えても故意であるとは思えません。

それが結論です。

ネット上ではいまだに避難の嵐ですが、どうかこの試練を乗り越えて野球を続けられることを願います。

渡部くんのためにも、そして尾崎くんのためにも。


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